【書評】 チャールズ・サイフェ の「異端の数ゼロ」を読みました

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コアトルの書評

ここ10年くらい、あちこちの意識高い系ブログでお勧めされている異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念

いざ読んでみると、まあどこぞやのごちゃ混ぜブログ感は否めず、所々説明が不十分であったり、話が飛躍したりするので、著者の知識を思う存分躍動させるためには、紙幅が少し足りなかったかもしれない。

ただ、前半部分くらいまでは、誰でも非常に面白く読めると思います。

特に、同じくここ5年くらいでメディア露出が多くなった苫米地英人が好きな人なんかには、大変お勧めの本となっています。

0という数字が、単に自然科学の領域だけでなく、いかに宗教や思想に影響を与えてきたか。

20世紀のゲーデルの不完全性定理の誕生で、哲学と数学が最も接近した、などと言われたことがあるが、そのルーツが遠く古代ギリシャ時代に遡ることが本書により明確に明らかになるでしょう。

0、そしてそれと表裏一体である無限大という概念を認めてしまうと、神という存在が当時の考えでは成り立たなくなってしまう。

古代人の考えた「世界」は天球に収まる世界であり、有限個の星から成り立つならば、最初の1個があったはずだ。

これこそが神の存在を暗示するものであり、「最初は何もなかった」などという考えと密接につながる0の概念は、到底受け入れられるものではなかったわけである。

中盤以降はかなり駆け足で、中世以後の数学、物理学の歴史を駆け足で述べている。

ラプラス、プラトン、ニュートン、ライプニッツ、アインシュタイン、そしてプランクや量子力学、超ひも理論。。。

こういった部分については、一定の予備知識が無いとスムーズに読めないかもしれない。

特に、タイムマシンの可能性などと密接にリンクするアインシュタインの相対性理論については、多くの人が興味があることかもしれない。

本書ではやはり、わずかしかその考えについて述べられていない。

この相対性理論について、一通り、その発見の背景を含めて知りたい人には10歳からの相対性理論―アインシュタインがひらいた道 (ブルーバックス (B‐584))がお勧めです。

10歳から、と書いてありますが、コアトルは14歳でこれを読み、存分のにわか知識を獲得し、その後の人生でも何かと役に立つ事が多かったです。

もっとも、これは今読んでも十分分かり易いと感じますし、何せ子供向けに書かれたようなタイトルですが、そう簡単に読みこなせるものでもありません。

大人も十分に、自然に読める名著だと思いますので、興味のある方は読んでみると良いかもしれません。