男女共同参画社会基本法が成立してからもう20年近くが経とうとしております。
男女共同参画社会基本法 wiki
しかしながら、今なお日本では、女性の社会進出が遅れており、その基本理念など全く実現されていないと言う声をよく聞きます。
最近では元AKB48の秋元才加氏がツイッターで呟いた発言に多くの共感の声が生まれたことからも、多くの人が女性の社会進出が十分でないと言う日本の現状を憂いていると言うのがよくわかります。
強く逞しく自立している女性というものを、
この国できちんと理解して受け入れない限り、海外との距離がどんどん広がっていく気がする。男性も女性も手を取り合って逞しく生きるって、私は素敵だと思うんだけどな。
— 秋元才加 (@akimotooo726) 2017年8月9日
コアトル自身も、日本の場合女性の社会進出は進んでいない、と朧げながら思っておりますが、実際に外国に住んだことはないので、実際のところはよくわかりません。
そこでまずは、よく言われる、「女性の社会進出」と言うものを測る指標と言うものを見ておきましょう。
女性の社会進出度指標
よく引用される研究結果ではありますが、アメリカのクレジットカードブランドのマスターカードが、2016年に実施した調査では、
①能力(中等教育・高等教育)
②雇用(労働参加率、正規雇用率)
③リーダーシップ(事業主、企業管理職、行政機関管理職)
の3つが重要指標として調査されていたようです。
これらの指標を卑近な言葉に置き換えてよく考え直しますと、
日本の場合ではありますが、①は学歴と読み替えられ、②は正社員として就職できるかどうか、(あるいはどの程度就職偏差値の高い会社に入社できるか)、そして③はどれくらい出世しているか、と言うことになるかと思います。
コアトルの実感で言えば、①については日本はそれほど他国と比べても遜色ないのではないかと言う印象です。
確かにマスターカードの調査では、日本における男女間の高等教育機関(主に大学)への就学率の比較した場合、就学する男性に対して女性が89.6と下回っていたと言うことです。
他国を見ると100を超える国が多く、それはそれで違和感があるのですが、少なくとも日本においても、男性の大学生が100人いた時に、それに対して約90人の女性が高等教育機関で学んでいると言うわけですから、ここにはそれほど大きな問題はないのではないかと思います。
なので特に問題となるのは②と③ということになります。
まず②の方から検討して見ましょう。
他国と比べれば女性の就業率は高い
データは変わって、日本の厚生労働省の調査結果にはなりますが、これによりますと2010年時点で、男性の就業率が88.5%だったのに対して、女性のそれは66.4%でありました。
同じ日本国内において、男女間の差と言うものは確かに大きいのですが、就業率が66.4%と言う数字自体は、他国と比較すれば非常に高いのであります。

男女共に、そもそも働く人の割合が、他国に比べて非常に高いのですね。(女性は顕著に高いとは言えませんが、OECDの平均は十分に上回っております。)
この理由は主に2つあると思われます。
すなわち、日本人が働きすぎであると言うことと、失業率が非常に低いと言うことであります。
例えば労働力人口が100人いた際に、日本の場合、男性については90%近くが働いていると言うことになるのですが、残りの10%は何をしているかと言うと、
勉強をしているか、仕事がないが仕事を探しているか、仕事も勉強も職業訓練もしていない人(NEET的な人)が大半を占めます。
個人的に大変問題だと思うのは、この最後の「仕事をしておらずまた仕事も探していない人(NEET的な人)」に、専業主婦も含まれている、と言うことでありますが、日本の厚労省はこの計算から専業主婦を除外しているあたり、やはり専業主婦と言う属性自体が、特に日本において特殊であると言うことかと思います。
(アメリカにももちろん専業主婦はいますが、それらは若い女性にとって憧れではなく、自己実現ができていないかわいそうな人、と言う扱いを受けることもしばしばです。)
それからこれに関連して申し上げれば、実は日本の、特に若年層のNEET率はおよそ10%なのですが、これもまたOECDの平均15%を大きく下回っていると言うことも覚えておいて損はないでしょう。
また、日本は非常に失業率が低い。これは制度上、首になるリスクが今尚比較的低いと言うことが理由とされます。
各企業は、特に正社員を解雇する場合、膨大なコストを支払うことを余儀なくされます。
そのため余程業績が悪くならない限り、解雇せずに飼い続けると言う選択を取る場合が多いのです。
で、話を女性の就業に戻しますと、働く女性の割合自体は、日本は比較的高いのでありまして、社会進出という言葉を、就業率という言葉で限定すれば、こちらについてもそれほど問題視するほどではないのではないかと思われます。(これは立場によって意見が異なるかと思いますが、少なくとも他の国と比較すれば、遜色ないどころか非常に高いということは客観的に言えると思います。)
次に③リーダーシップに関して考えます。
女性の管理職は圧倒的に少ない
日本の女性の、社会進出に関する表面上の問題のうち、最も重要なのはこの管理職の数ということになるかと思います。
同じくマスターカードの調査結果を見ますと、「企業および政府機関における管理職への就任」は、男性100人に対して、わずか15人という結果になっています。
これはアジア太平洋地域において最下位であり、男性優位社会で有名な韓国の17人よりも低い水準になっています。
これは大変驚くべき数字です。
インドやフィリピンですら、100人の男性就業者に対して50人以上が管理職というのに、日本はそれを大幅に下回っているのです。
というわけで、女性はせっかくいい大学を出て、正社員になっても、全然出世できない、というのが数字から見た実情であり、これが日本の女性の社会進出を考える上での最大の問題であるというのが真っ当な理解なのではないかと私は思います。
では、なぜ女性が出世することが難しいのでしょうか。
女性が女性の足を引っ張っている
今見たように、日本では女性は正社員であっても中々出世できないというのが現状です。
この理由は色々考えられるでしょうし、どれも正しいとは思いますが、コアトルが考える一番の理由は、本当に誤解を恐れずに言いますが、まさに女性に原因があると思います。
いや、もちろん女性に原因があると言って、女性の能力が低いとか、女性はマネジメントに向いてない、などというつもりはありません。
ただ日本の場合、おそらくかなり多くの女性が、将来的には専業主婦になって、(家事育児は大変なものの)、少なくとも企業で働かずに生きていきたいと強く願っているというのが実情であり、この女性の態度が、各労働現場において陰に陽に人事判断に影響を与えることで、巡り巡って本当に能力のある女性が、正しく登用されていないというのがコアトルの主張であります。
少し脱線することを許してもらえるならば、女性が「女性の社会進出の遅れ」について、その原因を男性に矛先を向けつつ語っているのを見るたびに、イラっとすることが多々ありますが、このイラっとする感情も、やはり背景には専業主婦を熱望し、夫をATMなどと呼称する人たちを知っているからこそ発現するものかと思います。
日本における女性人材の管理職登用の進捗が芳しくない原因は、正しくその学問的知見を応用できたものかどうかは自信がありませんが、経済学で言うところのいわゆる逆選抜が生じていることにあるように思われます。
逆選抜(逆選択とも)元々はアメリカの中古車市場(レモン市場と呼ばれる)において、欠陥商品ばかりが出回ってしまうと言う状況をジョージ・アカロフ先生が経済学的に解明した際に出てきた概念です。(悪貨が良貨を駆逐するとも言われます。)
例えば中古品の販売者は、どの車に欠陥があって、どの車に欠陥がないのかをよく知っていますが、購入者は車の専門家でもないし、いちいち配線などを調べたりはしないので、どれが欠陥品かを見分けることができません。
これをいいことに、中古車の販売者は、欠陥があろうとなかろうと、欠陥がない車の値段と同じ額で全ての車を販売します。
そうすると最初はバレなくて良いですが、時間が経つと、どうも欠陥品をつかまされることに気づいた多くの購入者たちが現れ、中古車の買い控えを始める。
すると中古車販売者は売り上げが立たないので、値段を下げるしかないのですが、本当にいい問題のない車は、値段を下げてしまっては採算が取れなくなるので、
結果的に仕入れ値が安い、欠陥のある中古車ばかりを売らざるを得なくなってしまう。。。。
そして最終的には欠陥者ばかりが中古車市場に出回ってしまう、、と言うわけであります。
これを、非常に不謹慎を承知で、企業人事における女性登用シーンに置き換えて見ましょう。
A子さんは新卒7年目で、やる気もあって優秀だが、30歳までには結婚をして、子供を持って、会社は寿退社したいと思っている。しかし時期は決まっていないので、そのような意思表明はせずに、今の仕事にやりがいがあると思っていると周囲に言っている。(中古車の例で言う欠陥車。)
人事は有能な女性を管理職に登用して、会社の重要案件を任せ、リーダーシップを発揮してほしいと思っているが、当然給料もアップさせないといけなかったり、人材の代替が難しくなるので、管理職の登用にはコストがかかる。
人事は慎重なる検討の末、勤続年数が比較的長く、優秀なA子さんを、課長補佐に任命することにした。
A子さんは課長補佐になり、責任ある立場の会社員として精力的に活躍したが、任命されてから1年半後に、兼ねてから交際していた男性(年収1000万円超)と結婚し、そのまま退職した。
A子さんの退職の結果、代替要員の補充コストが発生、またA子さんへの管理職教育研修費用が無駄になり、昇給部分のコストも余計にかかってしまったことになる。
このことがあって以降、A子さんのいた会社は、女性の管理職登用には慎重になってしまった。
同じくらい優秀な女性がいても、A子さんの二の舞を恐れて、容易に管理職には登用しないことが、人事部の暗黙の了解になっている。。。。
このような状況が、多くの大手企業内で蔓延しており、実際に管理職になる女性は極めて少ないと言うことを知っている、本当に優秀で出世欲もある多くの女性は、企業における出世を諦め、特殊資格の取得や高収入男性との結婚などという方面に精力を出してしまい、優秀な女性の人材が転職市場や就活市場に現れなくなってしまう。
結果として、ますます各企業内で出世の見込みがある女性が少なくなってしまい、実際に管理職の女性も少なくなる。。。
という感じでしょうか。
なので上のストーリーで言うと、A子さんが諸悪の根源ということになりますでしょう。
まあ、こういう言い方をしてしまうと、かなり悪意のある言い方にはなってしまいますが、しかしそれでもやはり、女性の管理職登用が低水準の原因はそこにあるのであって、これによって男性はますます働き者になり、女性はますますそれに頼ろうとしてしまう、という悪循環が生まれていると思います。
しかもA子さんはあくまで一個人ですが、A子さんのコピー人間がそこかしこにいるために、女性を管理職に登用するのはリスク、という空気があちらこちらに蔓延している。
だからこの問題は非常に根深く、解決が難しいのであります。
ただ、私が少なくとも問題だと思うのが、今私が述べたようなこと(これは結構真理をついていると自負しますが)が、完全にタブーになっているということなのです。
女性の足を引っ張るのはむしろ女性だ、ということをマスコミ文化人や有名人が言えば、あっという間に炎上して、最悪再起不能になるリスクさえあります。
こう言う状況では、おそらく何百年たっても、日本の現状は変わらないであろうと思います。