金縛りというのは一般にはややホラー的な文脈で語られることが多い上に、経験者と非経験者がはっきり別れますので、金縛りを経験したことがないからすると、
ますます神秘的で魅力的なものに見えるらしい。
かくいう私も、中学生の頃までは金縛りにあったことなどなく、学友が「金縛りに遭った」などというのを聞いても、「ああ、どうせ目立ちたがり屋の虚栄心だろう」などとタカを括っておりました。
ところが、程なくして不詳コアトルにも金縛りの機会が巡ってきたのでありました。
金縛り初体験記

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部活が終わって帰宅後、コアトルはいつものように自室でぼーっとしていたのですが、急激な睡魔に襲われました。
その頃は進学塾に通っており、ゆっくり寝ている時間などありません。
あと20分くらいで家を出発しなければならなかったですから、頭では「寝てはいけない寝てはいけない」と脅迫しているのですが、
体が疲れているだけあって、逆に脳は休もう休もうとするのです。
ウトウトっ。。
⇨
あ!寝ちゃダメだ
⇨
ウトウトウトっ。。
⇨
は!やばい寝るんじゃない!
ということを何度か繰り返していたその時!
その、「あ、やばい寝ちゃダメだ!」という時には体を半分起こすようにしていたのですが、それが全くできなくなったんですね。
体が硬直して言うことを聞かないし、何より呼吸もまともにできないのには驚きました。
しかもこの金縛りは、抵抗すればするほど苦しくなってしまうように見え、体に力を入れてなんとか体を動かそうとすればするほど、益々体の硬直を感じました。
結局コアトルは、この金縛り現象に完全に身を委ねて、そのまま眠りに入る、、ようにしばらく見せかけてから、渾身の力を振り絞って上半身を奮い立たせて、
時刻、通り塾へ行ったのでありました。
心霊的現象を伴う金縛り

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金縛りというと、悪夢や幻覚などとセットで現れることが多いとされています。
コアトルが初めて体験した金縛りは、単なる金縛りで、付随的な心霊的現象などは一切現れませんでした。
しかし数年後、2度目に体験した金縛りは極めて恐ろしい物だったのであります。
恥ずかしい話ですが、コアトルは大変に怖がりで、リングとかああいうホラー映画を見ると、夜一人では寝られなくなるほどだったのですが、
ある夜のこと、夕方に再放送されていたホラー映画を、これまた部活帰りに見てしまったのであります。
全くバツの悪い話なのですが、その日は特にクタクタで、見終わってから食事を済ませて、お風呂に入りました。
このお風呂がまた恐怖増幅装置で、一人で目をつぶって頭を洗っている間に、隣にお化けがいないかどうかなどをしきりに気にしてしまうのです。
2秒に一回目を開けては、何もいないことを確認していたのですが、そんなことをやってもなんの救いにもならず、頭を洗っている限りいつまでも底知れぬ恐怖に苛まれていたのでありました。
そういうことがあって、風呂から上がった後も非常に怖い思いを引きずっていたのですが、体はヘトヘトになっているので、そのままベットイン。
さてそこから厄介なことが起こりました。
起きて入れば怖いのと、また疲労による睡魔があるので、さっと眠りにつけばいいのですが、先ほどのお風呂で起きたのと同じことが起こったのであります。
つまり目をつぶっている間に、壁際や足元や、とにかく死角になりそうなところに幽霊的なものが現れて、私の命を取っていくのではないか、という恐怖感から、
またもや
ウトウトっ。。
⇨
あ!ゴーストがいるかも知れない!死にたくないなら目を開けろ!
⇨
ウトウトウトっ。。
⇨
は!やばい、命が欲しいなら周囲を警戒しろ!!
という状態を繰り返してしまっていたのです。
ご察しの通り、この状況で金縛りが起きました。
ところがこの時の金縛りは、前回とは異なっていて(私は全く科学信奉者であって、心霊的存在など全く信用しないと予め断った上で、見たままのことを述べますと)、
私のお腹のあたりに、ガス状のウネウネ見たいなものがはっきりと現れたのです。ポケモンのマタドガスをもっと怖くしたような感じでした。
これは明らかに意思があるような動きをしていて、また明らかに私に対して攻撃的なものでありました。
よく見るとよく映画であるような、混沌とした風景の中から悪魔的な顔が浮かび上がるシーンで出てくるのとそっくりな、非常に恐ろしい顔が浮かび上がっておりました。
私は今でも覚えていますが、この時ほど恐怖を感じたことはありません。
本当に恐ろしい体験でありましたが、その悪魔の顔を見てからの記憶はあまりありません。
金縛り体験に遭遇する方法
さて、こんな怖い話をした直後にこんな話をするのもなんですが、もし金縛りにあったことがなくて、金縛りにあいたいと思っている人がいれば、
小生の経験からその遭遇の可能性が高いと思われる方法について、述べて見ることにいたしましょう。
と言っても、ここまで初めから読んで頂いた方に取っては繰り返しの内容になるかも知れませんが、ポイントとしては2つです。
①運動の結果としての疲労による、抑えきれなくなるほどの眠気、睡魔
②上記睡魔への反復的な反抗、対抗
この2条件が満たされれば、慣れた人なら確実に金縛りを起こすことができるでしょう。
ただ、②で注意すべきなのは、あくまでも睡眠の体制に入っておくことが前提であるということです。
睡魔に、立って反抗したり、要は横になるのではなく普通の生活を送りつつも眠気に対抗するということではないということであって、きちんと横になった上で、
ウトウトとしたここぞというところで、「寝るな!!」という叫びの一撃をかまさなければなりません。
最後に心霊現象の有無ですが、これは徹頭徹尾本人のその時の精神状況や、心霊現象をどれくらい信じているかという、各人の信仰によりますから一概には言えません。
ただ普段から心霊現象はあると強く信じている人や、私のように直前にホラー映画などを見た人は、心霊的シーンも目撃できるかも知れません。